2011年3月13日日曜日

節電すべきか」という疑問に対する回答(地域別)



東北電力では大規模停電が続いている。東京電力では14日にも1,000万キロワットの電力不足が予想され、東京電力は500万キロワット単位で地域ごと順番に停電させる輪番停電で対応する予定だ。被災地域のように物理的に送電線が遮断されている場合は復旧を待つしかないのだが、単純に電力が不足する場合は、各電力会社間で電力の融通をおこない合うのが通例なのに、今般は、なぜこれが出来ないのか。若干、情報が若干錯綜しているようなので整理しておく。1,東京電力はなぜ電力の融通を受けられないか電力は、その物理的な制約により隣接した事業者からしか融通を受けられない。東京電力に隣接する事業者は東北電力と中部電力の2社。本来は、同じ周波数50ヘルツである東北電力からの供給を期待したいところだが、被災地からの融通は絶望的。もう一方の隣接事業者である中部電力の周波数は60ヘルツであり変電が必要。この変電能力はわずか100万キロワットしかない(今回の電力不足は、中部電力からの融通分を織り込んでいる)。万が一東北電力の送電線が無事であれば、北海道電力から東北電力の送電設備を使って東京電力に電力を融通する「振替供給」も可能だが、北海道電力と東北電力をつなぐ「北本連系」の能力は60万キロワットしかなく、不足分を補えない。そもそも、北海道電力が電力を融通するなら、東北の被災地が最優先されるべきである。
2.節電はするべきか,各電力会社ごとに事情が異なる。

①北海道電力
北海道は、冬期のエネルギー需要に応える必要性から、需要に対する電力供給能力がそもそも過剰ぎみなので、ボトルネックである北本連系限界の60万キロワットくらいは、おそらく現状でも融通できるだろう。つまり、残念ながら北海道電力の地域で一般家庭が節電することにより被災地に協力できる可能性は低い。

②東北電力
電気はあらゆるインフラの中で最も早く回復するため、被災地でも徐々に電力の供給が再開されているが、女川原発が停止するなど、当面は東北電力の供給能力不足が続くので、電気が回復した地域でも節電すべきだ。
ちなみに12日の報道 によれば、北海道電力が被災地へ電力の供給を検討しているというから、最大60万キロワットの供給は期待していいだろう。

③中部電力
北海道電力と同じ理由で、100万キロワットというボトルネックがある以上、残念ながら節電をすることにはあまり意味が無い。

④東京電力
結果として、東京電力の地域は、域内で1,000万キロワット不足する電力需要分を節電しなければならない。節電というよりも、東京電力は、夕方の3時間程度、輪番停電で強制的に供給をストップすることをほぼ決定しているようなので、当面はこれを受け入れることで協力しつつ、火力発電の再開を待つしかない。

⑤その他の電力会社
遠隔の電力会社から振替供給しても、結果として中部電力から東京電力への変電能力100万キロワットのボトルネックに阻まれるので、節電しても意味が無い。


被災地に協力したいという気持ちは大切だが、意味のない行動をしてはならない。もちろん、被害

に対して不謹慎であってはならないが、被災しなかった地域では、なるべく日常の経済活動をおこ

なうことも重要だ。冷酷にも思えるが、日本という経済主体の運営は、休む訳には行かないのだから。

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